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日々、思考回路を暴走中。

入試改革は「のり子さん」を増やすか②

入試改革は「のり子さん」を増やすか①の続きです。

全体の構成は次のようになっています。(③以下は予定)

 

① ポップコーンの「のり子さん」 

② 共通テストのメッセージ/教科書と日常はつながっている

③ 学校教育と「のり子さん」/入口と出口のミスマッチ

④ 共通テストの「テスト」としての価値

 

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 ②では、2021年から新しく始まる共通テストについて、とくに、そのねらいとして掲げられた「教育現場へのメッセージ」の部分について、わたしが個人的に思ってることをあれこれ書こうと思います。

 

 

<共通テストとは>

共通テストとは、センター試験の後継として2021年から実施されるテストのこと。

大きな変更点になるはずだった記述式解答が見送りになり、パッと見は、センター試験の看板を付け替えただけのような印象。

 

とは言え、何も変わらないわけではない。

英語ではリスニングの配点が激増するし、全体として重視されるものは

・「知識」そのものではなく、「知識の理解の質」

「思考力」「判断力」「表現力」

だと発表されている。

(参考:令和3年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト問題作成方針

 

試行調査の問題を見ると、センター試験と比べて、解くために使う資料(図や表、写真など)がものすごく増えている。

読まないといけない文章の量も多い。

なので、今まで以上に、短時間で大量の情報をさばく力が必要になる。

 

「知識よりも思考力がだいじ!」みたいなことを言う人もいるけど、知識がないと、そもそも問題が読み切れない。

知識量は、処理速度に響く。

大量の情報をさばくためには、知識も思考力も、どっちもいる。

 

問題文と資料だけじゃない。

今までは、「正しいものを一つ(二つ)選べ」というように、正解の数が指定されていたけど、共通テストでは、問題の一部に「すべて選べ」が入ってくる。

正しいものが何個あるか教えてくれない。

 

このタイプは、「なんとなく知ってる」程度のあやふやな知識では正解できない

ひとつひとつの選択肢について、正しいか、正しくないか、じっくり考えないといけないし、消去法も使えない。

 

そういう点を考えると、「正確な知識」の必要性は、今まで以上に高いと思う

 

<共通テストはメッセージ?>

また、問題作成方針には、次のように書かれている。

個人的には、ここがめちゃくちゃ気になる。

 

○ 「どのように学ぶか」を踏まえた問題の場面設定
高等学校における「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善のメッセージ性も考慮し,授業において生徒が学習する場面や,社会生活や日常生活の中から課題を発見し解決方法を構想する場面,資料やデータ等を基に考察する場面など,学習の過程を意識した問題の場面設定を重視する。

 

授業改善のメッセージ!

つまり、問題自体が、学び方のモデルとなるように作られていると言える。

 

前回紹介した、ポップコーンの重さが気になるのり子さん。

彼女の行動も、「学びを日常の課題解決に生かす」という学習のモデルのひとつだと考えると、共通テストには、 「みんなにも、のり子のような学習をしてほしい」という願いがこめられていることになる。

 

<のり子だけじゃない!アスカもシンジも、太郎も花子も>

試行調査の問題を実際にいくつか見てみると、「学び方のモデル」を意識して作問されていることがよくわかる。

 

とくに目立つのが、高校生どうしの会話問題。

高校生が身近な出来事や現象について、学校で習ったことを思い出しながら、理由やしくみなどを考えていく。

学校の教科書と、自分の日常がつながっていくおもしろさがある。

 

例① 平成30年度試行調査 生物基礎

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エヴァンゲリオンが始まるのかと思ったけど、全然違った。

 

例②平成29年度試行調査 物理f:id:el_girasol:20200128143706j:plain 

こんな小難しいことを考えながらも二人で帰宅する花子と太郎。

二人の関係性がちょっと気になる。カレカノかなー

 

<教科書と日常はつながっている>

会話文問題には、学校の教科書と自分の日常がつながっていくおもしろさがある。

それと少し似ているけど、

「道路の渋滞表示と交通量の管理」 平成29年度試行調査 数学Ⅰ・A

「道路計画と自動車の物理」平成29年度試行調査 物理

などには、学校の教科書と社会の課題がつながるおもしろさがある。

 

そのほか、

「脂質の摂取を抑えたい太郎さん」平成30年度試行調査 数学Ⅱ・B

「ツナ缶を使ったマグロの筋肉の観察」平成30年度試行調査 生物

なども、現実的な感じがすごくいい。

 

全体的に、共通テストには、教科書の世界が、自分の日常生活や社会がつながっているということを実感できる問題が多いと思う。

 

<共通テストの目指す方向>

高校生には、のり子さんのように、花子さんにように、太郎さんのように、学びと日常をつなげたり、知識と知識を組み合わせたり、自分で考えて、行動して、問題を解決していく力を身につけてほしい。

そして、高校教育に関わる人には、子どもたちにそういう機会を提供できるよう努力してほしい。

共通テストには、そういう思いがこめられていると思う。

 

この「授業改善のメッセージ性」という部分が、実際にどの程度、高校の教育現場に影響を与えるのか、どれくらい授業が変わっていくのは、わからない。

だけど、教科書と日常がつながっていることに気づくと、学ぶたのしさは絶対に増すと思うし、授業の改善が実現すれば、その恩恵は、「共通テストを受験しない人」も受けられる。

 

テストとしての機能については、若干、物言いをつけたくなるけども、共通テストが目指している方向自体は悪くないと思う。

 

大量の情報を整理して処理する力。思考力。判断力。

大学入試の時点では、解決すべき問題は「入試問題」でしかないけど、社会が抱える問題を解決していくときにも、絶対に必要になる力。

 

どうしたらそういう力が身に付くのか。

学校に行っていれば身に付くのか。

学校教育は、子どもを「のり子さん」のように育ててくれるのか。

次回は、そのへんについて思うことを書きたいと思います。

 

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